慢性骨髄性白血病 長生き。 CMLが寛解に 高額治療薬服用やめたい

がん患者、もう1つの闘い。お金が続かなければ……

慢性骨髄性白血病 長生き

慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」代表の田村英人さん 09年10月、乳がんの母(77歳)が慢性骨髄性白血病の娘(53歳)を刺殺するという事件が起きた。 話を聞いたがん患者さんの中には、「もしやきっかけはグリベック!? 」と考えた人が少なからずいたという。 今日、長期にわたって高価な治療薬を必要とするがん患者さんは増える一方だが、グリベックはその象徴のような薬だ。 グリベック(一般名イマチニブ)は、慢性骨髄性白血病の標準治療の第1選択薬として使われる。 効果が高く、副作用が少なめで、錠剤を飲むだけで過ごせるため、通院回数も少なくてすむ。 そのため、「グリベックが登場して、慢性骨髄性白血病の治療は根本から変わった」ともいわれるほどだ。 日本では01年12月に健康保険で使えるようになったが、薬価( *)は1錠3128円。 薬価の見直し改定によって、今年4月から1錠2749円に値下げされたが、多くの患者さんは1日に4錠服用する。 つまり、健康保険の3割負担でも、4週間分で9万2000円、1年間で110万円もの支払いとなる。 慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」の代表、田村英人さんは語る。 「私自身、最初に薬局で精算するとき、10万円以上(当時)の請求書を見て腰を抜かしました。 持ち合わせがなく、あとで払いに来るからと、薬局に借金して帰りましたね」 その後、高額療養費制度のことを知り、これを最大限に利用することにした。 *薬価=国によって決定される医療用医薬品の公定価格のこと 必死で働いたお金もすべて医療費に…… 年齢、収入などにより差はあるが、一般的に1カ月に自己負担分を超える高額な医療費が年に4回以上かかると、4回目から自己負担金が8万100円から4万4400円に減額される。 「医師によっては健康保険組合に配慮して、処方をいやがる方もいます。 でも、多くの医師はお願いすれば3カ月まとめて処方してくれますよ」 高額療養費制度について知らないと、前述したように3割負担で年に110万円も払わなければならない。 また、高額療養費制度を利用しても、1カ月分ずつ支払っていると1カ月につき4万4400円の自己負担になるので、年64万円もかかってしまうのだ。 「グリベックは効果がある間は、一生ずっと飲み続けなければなりません。 病気になった当初は、『これでがんが抑え込める』と頑張れるのですが、これが長期にわたると現実の生活がのしかかってきます。 子どもを抱え、家のローンを抱える働き盛りの患者さんは、せっかく寛解(体内のがん細胞が極限まで減った状態)になっても、高い薬代のことで家族に引け目を感じています。 年金生活の人は『薬代を払うため、ほかのすべてを我慢している』と嘆きます。 若くて未婚の人は、『今後結婚できないかもしれない』という不安を訴えます。 病気を抱えているだけでも大きなマイナスと感じるのに、さらに高額な医療費を払い続けるなんて、とてもパートナーの理解は得られないと考えてしまいます。 まして、最近は景気が悪く、収入は減る一方。 事件が起きるといった深刻な状況にならなくても、治療費の問題は患者さんに重くのしかかっています」 慢性期から移行期、急性期になると治療が厳しくなる 10年5月には、長妻昭厚生労働大臣あてに高額療養費制度をはじめとした、保険医療制度の見直しを求める要望書を提出した あるがん患者会関係者は、「静かな自殺を選ぶ人が増えている」と語る。 というのも、グリベックをやめると移行期、急性期に移ってしまうことが心配される。 だから、やめられないはずなのだが、経済事情でやめてしまう人がいるというのだ。 それは一種の自殺といってもいい。 田村さんもいう。 「私自身はグリベックをやめた人の話をほとんど聞きませんが、少なからずいると思います。 そう決断される方は患者会に参加されることが少ないため、表面に出ないのだと思います」 田村さんが数人の仲間と「いずみの会」を立ち上げたのは07年。 もともと、血液疾患の患者を支える『NPO法人血液情報広場・つばさ』のイベントに参加していたが、「慢性骨髄性白血病の患者会を作って」と頼んだら、「ぜひあなたが」といわれて創設。 代表に就任した。 正直、病気を抱えて充実して生きることを考える会にしたかった。 だから、お金のことにはふれたくなかった。 しかし、「本当に困っている」という声がどんどん大きくなり、09年12月、「いずみの会」と「つばさ」ほか全4団体で「高額医療費削減連絡会」を結成。 厚生労働省に要望書を提出したり、患者向けフォーラムを開催するなどの活動を行ってきた。 今回、薬価が下がったのはその1つの成果。 しかし、田村さんはいう。 「下がったといってもほんの少し。 また、グリベックの薬価さえ下がればいいという考え方ではだめだと思います。 分子標的薬が次々開発され、長く生きられる患者さんが増えている今日、高額医療費の問題は国民だれにも起こりうる問題です。 そして、現行の高額療養費制度は、手術や入院など一時的な窮状を救うのが目的。 高価な薬を飲んで長く生きることは想定されていないので、ある意味機能しない。 ですから、ほかの病気の患者さんとも協力し、制度そのものを変える必要があると思います」 現在、グリベックが効かなくなった場合に効果が得られるタシグナ(一般名ニロチニブ)、スプリセル(一般名ダサチニブ)も承認されている。 「第2世代薬は効果が高い分、薬価はさらに高い。 これらの薬も4月から下がりましたが、それでもタシグナが1錠4608円(1日2~4錠)、スプリセル50ミリグラムが9217円(1日100ミリグラム)です。 幸い、活動の甲斐があって、この4月には厚労省保険局が今後の組織目標を発表し、『高額療養費のあり方の検討』という項目を入れていただきました。 まだ実働していませんが、『平成23年度予算案に必要な反映を行う』と明記されていますので、関心をもって見守っていきたいと思います」.

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(3ページ目)かつて”不治の病”だった白血病のいま 血液内科医が解説する最新治療方法

慢性骨髄性白血病 長生き

発生率と疫学 [ ] 慢性骨髄性白血病は年間に100万人あたり10-15人程度発生しすべての白血病(年間10万人あたり6人程度)の約2割を占める。 男性にやや多く(女性の1. 3-2. 2倍)発症年齢の中心値は45-55歳であるが、小児白血病の中ではわずか5%を占めるだけであり、青年層も発症はするが中年以降により多く見られる。 慢性骨髄性白血病は、と違い、人種による発症率の差は無い。 症状と血液・骨髄の検査所見 [ ] 慢性骨髄性白血病の最初の病期であり患者の85%を占める慢性期では自覚症状に乏しいが、自覚することがある症状としては、慢性骨髄性白血病はを伴うことが多いので腹部膨満は比較的見られる自覚症状である。 他には腹痛、倦怠感などがあることもあり、稀には発熱や出血、貧血なども見られることもある。 しかし多くの患者では顕著な症状は無く、健康診断で白血球数の増多を指摘されて初めて受診し発見されることが多い。 病期が進行し移行期から急性期になると骨髄は芽球が占拠し末梢血にも芽球があふれ、急性白血病と類似する諸症状(白血球減少による高い発熱を伴う感染症、血小板減少による易出血状態、赤血球減少による貧血の諸症状、各種臓器への白血病細胞の浸潤に伴う諸症状)が現れる。 増加している白血球は、、、であるが、特に好中球と好塩基球の増加は顕著である。 好塩基球は一般には白血球の1%以下しかない稀な種類の白血球であるが、 慢性骨髄性白血病では一番初期、他の血球に先んじて好塩基球が増加し始め、慢性期を通じて好塩基球は著明な増加を見せる [ ]。 好塩基球の増加が慢性骨髄性白血病の極めて特徴的な所見である。 好塩基球に続いて好中球が増加し(元々白血球では一番多い種類だが)膨大な数になるが、好中球は顕微鏡観察では一見正常に見えるが、アルカリフォスファターゼ NAP 活性が著明に低下し、他の白血球増多症との重要な鑑別点となっている。 骨髄では明白な過形成(細胞が増加し通常より高密度になっている状態)で骨髄系細胞(主として好中球・好塩基球・好酸球の幼若球)と赤血球の幼若球である赤芽球の数量の比(M:E比)は10:1-30:1と極端に骨髄系細胞に偏っている。 それに加えても通常は増加している。 造血をしている正常な骨髄はおよそ半分は脂肪であるが、慢性骨髄性白血病ではが著増するので脂肪分はほとんど見られなくなる。 病態生理 [ ] フィラデルフィア染色体とBCR-ABL融合遺伝子 として知られる染色体転座による遺伝子の後天的異常と明白に関連すると捉えられた最初の病気であった。 フィラデルフィア染色体の名前はにの2人の研究者によって発見されたことに由来する。 (と)各長腕の転座により、22番染色体上の BCR breakpoint cluster region と9番染色体の各遺伝子領域が複合し、融合(キメラ)遺伝子 BCR-ABLを生じる。 この産物である融合タンパクBCR-ABLは、恒常的に活性化されたであり、等を介して抑制遺伝子 BCL-XLの転写を促進するなど細胞の不死化を引き起こす。 さらに、この融合タンパクは修復を禁止するので、が不安定となり、細胞は更なる遺伝子的異常を引き起こしやすくなる。 フィラデルフィア染色体が検出される(陽性)細胞が骨髄芽球系かリンパ芽球性かでやや病態が異なり、後者はより難治性とされる。 病期 [ ] しばしば臨床的特徴と検査所見に基づいて3つの段階に分けられる。 一般的には慢性期に始まり、数年間をかけて移行期へと移行し、最終的には急性転化期に陥る。 急性期の身体状態はと同様な振舞を示す。 慢性期(Chronic Phase, CP) 患者のおよそ85パーセントが診断時にこの段階である。 この時期は、患者はほとんど無症状であるか、あっても軽度の疲労感や脾腫及び肝腫大による満腹感程度である。 治療が行われない場合、数年で移行期や急性期に移行する。 急性期(Blast Phase, BP) 正常な造血機能が著しく障害されている段階であり、身体症状は急性骨髄性白血病に類似する。 芽球は骨髄球系・リンパ球系のどちらもとりうるが、骨髄球系が多い。 治療 [ ] 第1世代のチロシンキナーゼ阻害薬 TKI (商品名グリベック)が2001年以来長く使われ長期の使用データも蓄積され、広く使用されている。 イマチニブによっておよそ90%の患者が寛解を得て通常の社会生活を送ることができるが、一部に治療の初期または中途からイマチニブに治療抵抗性となる場合があり、イマチニブに抵抗性のある慢性骨髄性白血病患者には第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬 TKI が開発され効果をしめしている(ただし、数十種類あるBCR-ABLたんぱく質の小変異の内、T315I BCR-ABLと呼ばれるATP結合部位のアミノ酸残基トレオニンがイソロイシンに変異したタイプのものは、イマチニブにも第二世代のTKIにも抵抗性であり、移植治療が推薦される ) 第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬は現在2種類が使用可能である。 ニロチニブ(ニロチニブ塩酸塩水和物、商品名タシグナ)のBCR-ABLの阻害効果はイマチニブの約20倍強力である。 (ダサチニブ水和物、商品名スプリセル)2009年1月に承認された。 第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬。 (商品名ボシュリフ)2014年9月承認。 チロシンキナーゼ阻害薬抵抗性を示すT315i変異に対する薬剤• 2016年1月承認 現在、実用化されているの分子標的薬以外にも、(INNO-406, NS-187)などの新薬が開発段階にある。 Bafetinibは日本で創薬されたチロシンキナーゼ阻害薬であり期待されている。 移行期や急性期に移行した場合、あるいはチロシンキナーゼ阻害薬に耐性をもった場合、チロシンキナーゼ阻害薬が最初から効きにくいサブタイプなどの慢性骨髄性白血病に対しはや臍帯血移植などの造血幹細胞移植が重要な治療法となる。 しかしT315I変異を有する例では、依然としてチロシンキナーゼ阻害薬登場以前と同程度のである。 ダサチニブは適応があるが、単剤での全生存中央値は骨髄球系で11. 8か月、リンパ球系で5. 3か月 である。 出典 [ ]• 1460• 1463• 薄井「白血病幹細胞を標的とする薬剤開発」• アメリカ血液学会 ASH 2009. 1126• Giles FJ 2013. Leukemia 27 1 : 107-112. Stone 2009. J Clin Oncol. ASCO Annual Meeting Proceedings Post-Meeting Edition. Silver RT 2009. Haematologica 94 5. Blood 111 4 : 1834-1839. J Clin Oncol. 27 21 : 3472-3479. Giles 2008. J Clin Oncol. ASCO Annual Meeting Proceedings Post-Meeting Edition. Cortes J 2008. Leukemia 22 12. 参考文献 [ ] 書籍• 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、• 阿部 達生 編集『造血器腫瘍アトラス』改訂第4版、日本医事新報社、2009年、• 大野 竜三 編集『よくわかる白血病のすべて』永井書店、2005年、• 小川聡 総編集 『内科学書』Vol. 6 改訂第7版、中山書店、2009年、• 押味和夫 監修『WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』中外医学社、2009年、• 杉本恒明、矢崎義雄 総編集 『内科学』第9版、朝倉書店、2007年、 論文• 薄井 紀子「白血病幹細胞を標的とする薬剤開発」『最新医学』Vol. 66 No. 3、最新医学社、2011. 3 外部リンク [ ]•

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白血病とは|症状や検査、治療、ステージなど【がん治療.com】

慢性骨髄性白血病 長生き

[どんな病気か] 徐々におこってくるで、慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)と慢性(まんせい)リンパ性白血病(せいはっけつびょう)の2種類があります。 慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病の比率は、約8対1となっています。 患者さんは、40~50歳の人に多く、とくに男性に多くみられます。 日本では少ない白血病です。 白血病全体に占める割合は、2~3%にすぎません。 [症状] 徐々に発症し、健康診断を受けた際などに、検査で白血球数(はっけっきゅうすう)が増えていたり、腫(は)れている脾臓(ひぞう)が触れたりして発見されることも少なくありません。 慢性骨髄性白血病では、からだがだるい、疲れやすい、体重減少、寝汗(ねあせ)、上腹部の不快感などが現われます。 胃潰瘍(いかいよう)を合併していることも多いものです。 また、ほとんどの人に脾臓の腫れがみられます。 慢性骨髄性白血病は、発症してからこれらの症状が現われるまでに、6~8年ぐらいかかるといわれています。 慢性リンパ性白血病では、リンパ節の腫れと脾臓の腫れなどがおこってきます。 [検査と診断] 静脈から血液を採取して調べると、正常の場合では1mm 3中4000~9000個である白血球数が著しく増加し、ときには10万~20万個にも増えています。 貧血(ひんけつ)は発症初期にはみられませんが、病気が進行してくるにつれて、現われてきます。 血小板数(けっしょうばんすう)は正常なこともありますが、慢性骨髄性白血病では増加していることが多いものです。 慢性骨髄性白血病では、いろいろな成熟段階の白血球が血液中に出現し、染色体を調べると、フィラデルフィア染色体と呼ばれる22番目の染色体の異常がみられることが、診断の有力な手がかりになります。 慢性リンパ性白血病では、成熟小リンパ球が増加します。 骨髄穿刺(こつずいせんし)を行なって骨髄液を調べても、同じ結果がみられます。 [治療] 慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体をもつ細胞の増殖を根本的に抑える治療として、骨髄移植(こつずいいしょく)(「」)があります。 患者さんが45歳以下で、血縁者に白血球抗原(はっけっきゅうこうげん)(HLA)が適合する人がいる場合には、まず、骨髄移植が検討されます。 骨髄提供者(ドナー)から採取した骨髄を静脈から輸血する同種骨髄移植(どうしゅこつずいいしょく)が行なわれます。 移植後は、約1か月無菌室に入り、感染症や合併症の予防などの管理が行なわれます。 慢性骨髄性白血病の化学(薬物)療法としては、ヒドロキシカルバミドやブスルファンという薬剤を長期間使用し、腫瘍細胞(しゅようさいぼう)の増殖を抑える治療を行ないますが、根治はむずかしいものです。 この治療は、外来通院で行なわれることもしばしばです。 また、最近では、インターフェロンの使用も行なわれます。 病気が末期になると、急性白血病と同じ症状になります。 これを急性転化(きゅうせいてんか)といいます。 急性転化した場合、多剤併用化学療法(たざいへいようかがくりょうほう)を行ないます。 慢性リンパ性白血病では、抗がん剤のシクロホスファミドや副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンなどを用いて治療しますが、発病初期は、治療をしないで経過をみることも少なくありません。 若い人には、骨髄移植が行なわれます。 一方、慢性リンパ性白血病の平均生存期間は、約5年といわれています。 出典 家庭医学館について 世界大百科事典 内の慢性白血病 の言及.

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